親知らずの移植

港区 虎ノ門 まさいデンタルクリニック 歯周病治療

まさいデンタルクリニックでは、できるだけ天然の歯を抜かないように、日々治療に取り組んでいます。
それは親知らずであっても変わりません。
親知らずは必ず抜歯するものだと思っている患者さんが多いようですが、他の歯と同様に、症状や状態によって診断が異なります。
親知らずは病気やトラブルになりやすいものですが、健康な状態であれば将来的に使う可能性もありますので、大切にして保存することをおすすめします。

健康な親知らずの活用法 「歯牙移植」

健康な親知らずが残っていれば、親知らずが将来的にお口の中を救ってくれるかもしれません。
ここでは、健康な親知らずの活用法をご紹介します。

  • 将来、病気や事故で歯を失ったり、抜歯と診断されたりした場合に、健康な親知らずを移植して咬合を修復することができます。
  • 前歯の親知らずを抜歯した場合でも、矯正治療によって親知らずを徐々に前方に移動させることで、外科的処置なしに咬合を修復することができます。
  • 前歯を失った場合でも、親知らずを支柱としたブリッジ治療により、咬合を修復することができます。

第4の選択肢として注目されています

現在、歯を失った際の咬合修復方法は、大きく分けてインプラント、義歯、ブリッジの3つがあります。
しかし、人工物を口の中に入れるわけですから、何らかのリスクや問題が生じる可能性があります。
それに比べて親知らずは、もともとお口の中に存在する天然の歯なので、親和性が高く安全性が高いのです。
また、歯のクッション材とも呼ばれる歯槽骨膜も一緒に移植できるので、長期的なメンテナンスが期待できます。
現在、親知らずが健康であれば、来るべき時に備えて、健康な状態を維持することをお勧めします。

自家歯牙移植はすべての人に適用できる治療法ではありませんが、以下の条件を満たしているとできる可能性があります。

  • 移植可能な不要な歯(ドナー歯)がある。
  • 移植先と移植する歯の大きさに大きな差がない。
  • 移植する歯に歯根膜があること(歯根膜は歯と骨をつなぎ、かみ合わせる重要な組織であるため)
  • 移植先で移植歯の周囲に十分な歯肉がある。
  • 移植する歯の根元が複雑な形状をしていない。

※条件を満たしていても、骨量や歯肉の状態によって成功率が低いと判断される場合はできないことがあります。


術前の精密検査

リスクを減らし、正確な移植手術を行うために、検査やシミュレーションを行います。

1. 移植する歯の大きさと歯根の検査
2. 移植先の骨や周辺組織の検査
3. 3Dシミュレーション

3D画像を用いて入念なシミュレーションを行い、想定される問題点を把握し、適切な治療計画を立案します。
各種検査やシミュレーションの結果をもとに、成功率を下げる要因や将来のリスク(歯根吸収、歯周病、虫歯など)を患者さんにお伝えし、移植手術の同意を得ています。


手術の成功率を上げるための対策

ガイドを使って骨の形を整える

CT画像やスキャンデータを用いたガイドのシミュレーション結果をもとに、移植する歯がスムーズに収まるように、移植する骨を正確に削るためのガイドを作成します。
手術当日、移植前にガイドを使って不要な骨を削って形を整えます。

移植歯の模型を使った試着

実際に移植する歯を使うと、骨や歯の移植に欠かせない歯根膜を傷つけたり、歯根膜が乾燥したりするリスクが高まります。
そこで、歯根膜を良好な状態に保ち、生存率を少しでも高めるために、移植する歯を再現した模型を使用し、適合性を確認・調整しています。

早期に結合組織を接合する確率を高める工夫

ほとんどの歯は、組織学的には正常な歯と同じ順序で治癒する可能性が高いのですが、臨床的には早期結合組織吻合の確率を高めるための有意な差はありません。

移植に伴う炎症性吸収について

歯根膜が部分的に残っている歯を移植した場合、歯髄に細菌感染があると、歯髄(根の中心部)と象牙質(根の表面)をつなぐ細い管(象牙細管)を通って、細菌が根の表面に流れ出 てきます。
流れ出た細菌により、根が吸収されることがあります。
これを「炎症性吸収」といいます。
炎症性吸収は移植後に起こりうる症状のひとつですが、歯髄への感染を防ぐために適切な根管治療(精密根管治療)を行うことで抑えることができます。


抜歯の負担・リスクを軽減する対策

麻酔注射だけでなく、負担やリスクを最小限に抑えるための対策も行っています。

歯科用CTによる精密検査

大規模な抜歯を行う場合、歯科用CTを用いて、骨や神経、血管などの周辺組織の状態を事前に検査します。また、検査データをもとにシミュレーションを行うことで、正確でスムーズな抜歯を実現しています。

ピエゾサージェリー

歯肉に埋まっている親知らずには、軟組織(歯肉など)に負担をかけずに切開できるピエゾサージェリーを用いて低侵襲な手術を行います。
また、骨を削る際には、損傷を抑える的確な処置により治癒期間の短縮に努めています。

静脈内鎮静法

親知らずの抜歯をすると、恐怖や不安を感じ、気分が悪くなったり、麻酔が効きにくくなったりします。
そのような場合には、昼寝をしながら治療を受けられる「静脈内鎮静法」も行っています。麻酔科医の管理下で行いますので、ご安心ください。

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